協力翻訳者 川上(かわかみ)様
知財コーポレーションの仕事をするようになったきっかけ
知財コーポレーションの登録翻訳者になる前は、特許事務所の所員として6年ほど翻訳の仕事をしていました。特許事務所で働く中で、そのまま事務所内で翻訳を続けるのが良いのか、それとも独立してフリーランスでやっていくのがよいのか、将来のことを考えるようになりました。
自分のスキルを伸ばしていくには、より厳しい環境に身を置いた方がよいのではないか、力をもっと伸ばすことができるのではないかと考えるようになり、事務所を退職し、フリーランスになるという厳しい道を選択しました。フリーランスは自分の力だけが武器であり、それが評価されなくては仕事を貰えません。特許事務所で長く働くうちに、悪い意味での慣れが出てきたことを感じ、危機感を覚えたことも、環境を変えてみようと思った理由の一つです。
特許事務所で働いていた頃から知財コーポレーションの名前は知っていたので、フリーランスになろうと思ったときに真っ先に知財コーポレーションの名前が浮かび、トライアルに応募しました。
フリーランスになるにあたっては本当に仕事が貰えるのか不安だらけでしたが、知財コーポレーションと取引きをするようになり、誠実で、安心・信頼できる会社であることがわかりました。知財コーポレーションに出会うことができて幸運だったと思います。
特許翻訳の面白さ/やりがい
特許翻訳は専門職であり、高い知識とスキル、経験が必要ですので、誰にでもできる仕事ではありません。「自分だからできる」という気持ちを持って仕事をしていることはやりがいの一つです。
私の場合は元々英語が得意であったためそこから特許翻訳の世界に入りましたが、例えば最初は英語がそれほど得意でなくても、理系のバックグラウンドなどがあれば強みになるので、そうした方にとっても良い職業ではないかと思います。
特許翻訳を始めた当初はクレームに対する知識も十分ではありませんでしたが、書き方によって権利範囲が変わるということを学んでからは、なるべくお客様が望むような形で翻訳できるよう心がけています。ときには原文である日本語が完全でない場合もありますが、翻訳を通していかに本来あるべき形に近づけることができるか、翻訳だからこそできる「よりわかりやすく」「(発明者の考えを意識して)より明確に」という工夫が、特許翻訳の面白さだと思っています。単に単語と単語を置き換えるのではなく、翻訳者が日本語を読み込み理解するというプロセスを踏んで、よりわかりやすい表現にするところは翻訳の醍醐味だと思います。
特許は技術を扱うので、自分が日本の産業を支えるものに関わっているという意識もやりがいにつながります。日本の技術を守る特許にわずかながらでも役に立っているということには感動を覚えます。最先端の技術に触れ、こういった製品に応用されていくのだろうと考えながら取り組めるところは面白いですね。
フリーランス翻訳者の魅力
フリーランス翻訳者は自分で管理しなければいけない点は多いですが、それがきちんとできれば自分のペースで仕事ができるのが魅力です。例えば家事や趣味に時間を取りたい方はゆったりしたペースで仕事をすることもできますし、ライフスタイルに合わせて仕事をできる点は良いと思います。
特許事務所に勤務していたときに比べると通勤がなくなり、楽になりました。時間を有効に活用でき、仕事にすぐに取り掛かれるのは良いですね。
また、特許翻訳は職人のように突き詰めていく仕事なので、そういった性格の方には向いている職業だと思います。1件1件を1週間、あるいは2週間かけて仕上げていきますので、それを完成させたときは喜びを感じます。
知財コーポレーションの好きなところ
知財コーポレーションは翻訳者のことを大切に考えてくれて、信頼感、安心感の持てる会社です。フリーランス翻訳者にとっては仕事が途切れてしまうのではないかということが一番不安ですが、継続して安定的に仕事を頂いており、有り難いです。
仕事を依頼いただくにあたっても無理のないようにスケジュールを組んでいただき、途切れることなく、かつ無理をすることもなく配分を考えてくれます。翻訳者に気を遣っていることがわかり、仕事をやりやすくしてくれるのは助かります。
ネイティブチェックのフィードバックも勉強になりました。ネイティブでないとわからない細かいニュアンスや不自然な表現なども指摘してもらい、以前はこういった機会があまりなかったので有難く思いました。
出願用に作成された図面のチェックなど、翻訳以外の作業もありますが、知財コーポレーションの品質へのこだわりが感じられます。翻訳者に任せられる部分が多いのは信頼の証だと思います。
これからの目標/挑戦してみたいこと
お客様のことを大切に考えていかなくてはと思っています。特許というものは、発明者の方が苦労を重ねて生み出した自分の子供のような存在だと思いますので、翻訳者としては子供を預かったような気持ちで、大切に翻訳を行わなくてはいけないと考えています。そのためには高い翻訳能力や知識が必要になりますので、更に知識を深め、知識の幅も広げていきたいです。
また、「翻訳メモ」*1を充実させ、翻訳者の考えをもっと伝えていきたいと思います。どういう意図で翻訳したのかがお客様に伝わることは安心感につながりますので、ちょっとした気づきなども翻訳メモでコメントしていきたいと思っています。
現在は電気・電子分野の翻訳を中心に手掛けていますが、他の分野にも目を向けていきたいと思っています。勉強して、いずれはバイオや化学なども取り組んでいけたら良いですね。
∗1 翻訳にあたり気づいた原文原稿の誤りや、原文の解釈、使用した技術用語など、お客様に伝えるべきことをまとめた書類